出川洋税理士行政書士事務所(奈良県香芝市)

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▼スティーブ・ジョブズの伝記
(2012/1/7 16:27)
▼『デフレの正体』
(2011/2/19 18:17)
▼ドラッカー『マネジメント』を読んで
(2010/9/9 11:35)
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スティーブ・ジョブズの伝記
アップルコンピュータの創業者、スティーブ・ジョブズの伝記を読みました。あまりにもベストセラーになっているので、今更読む気にもなれないと思っていたのですが、手に取ってみると面白そうなので、やはり読んでみることにしました。どこが面白いかって、従来の伝記とは違い、スティーブ・ジョブズの悪口がいっぱい書かれているところです。なんかとんでもない人だったようですね。マッキントッシュ(通称Mac)というコンピューターを開発した、神様のような人だと思っていたのですが、知らなかったことが沢山あります。

ここでは詳しいことは紹介しませんが、いま読んだところまでで、企業経営に経営に役立ちそうなところを紹介します。 アップルコンピュータ創業当時のスティーブ・ジョブズの仲間に、マイク・マークラーという人がいます。この人がアップルのマーケティング哲学という文章を残しています。

1、共感「アップルは、他の企業より顧客のニーズを深く理解する」
2、焦点「やると決めたことを上手に行う為には、重要度の低い物事はすべて切らなければならない」
3、印象「会社や製品が発する様々な信号が、その評価を形作る」

アップルの製品、コンピュータのMacやiPhone, iPad, iPodをお使いになったことはあるでしょうか。アップルの製品はユーザーが勝手に設定を変えることはほとんどできず、不親切なほどに機能が限定されています。しかし、他のメーカーの製品に盛りだくさんに用意されている機能は、殆ど使われない機能です。アップルの製品はユーザーの使い勝手をとことん追及して、最も使い勝手の良い方法に機能が限定されていることに気づかされます。一方、他社製品のパッケージは開封後に捨ててしまいますが、アップル製品が梱包されていたパッケージは残っています。製品その物のデザインはもちろんのこと、箱のデザインから綺麗なのです。 スティーブ・ジョブズはマイク・マークラーの経営哲学を忠実に実行しました。その実現のために、常に優秀な人材の活用をしています。Macがマウスを用いてコンピュータを操作する方法も他人のアイデアです。アップルのロゴももちろんデザイナーが作っています。アップルではエンジニアとデザイナーが協力して製品のコンセプトに磨きをかけるのです。

私は以前から、日本のメーカーではデザイナーの地位が低く、活用がうまくできていないのではないかとう気がしていました。もちろんデザイナーもピン・キリですが、優秀なデザイナーを育成し、上手に活用することが、これからの日本の産業にとって最重要課題だと考えています。新興国と価格競争をしている場合ではないのです。
 
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『デフレの正体』
『デフレの正体』(藻谷浩介・角川ONEテーマ21)を読みました。この本の「おわりに」のところで、将来の日本の姿が予言されています。決して暗い未来ではありません。

・「都市開発地域拡大・容積率上昇・土地神話」の崩壊。
・旧来の市街地、農山林集落の再生、中途半端な郊外開発地が田園や山林に戻る。
・個性のある都市景観の復活。
・安普請の高層建築物の中低層化、耐震性の高い高品質な建物への立替の促進。
・不動産取引の流動化。
・土地ではなく建物の生む収益による不動産評価。
・大量生産品市場が縮小し、手作りの地産地消産業の増加。
 
 世間では政府による景気対策が急務と言われています。声高に叫ばれている景気対策とは、具体的にどのような将来をイメージしてのことなのでしょうか。工業製品がどんどん売れて生産が追いつかず、従業員は残業し、給料が上がり、ブランド物をどんどん買う。従って高級品がどんどん売れる・・・・というようなバブルの再来はもうありません。なぜなら、日本は近代化が完了してしまっているので、近代化のための爆発的な好景気の到来はもうありません。また、工業技術はすでに中国、インドなどのアジア諸国が共有しているので、日本のアドバンテージも、もうないからです。日本が目指すべき将来は、バブル時代ではなく、冒頭に書かれたような落ち着いた将来です。農業が再生し、アパレルや伝統工芸のような軽工業が再生する将来です。判りやすくいえばフランスやイタリアのイメージです。

■不景気の原因 
 リーマンショックによる世界的な不景気といわれています。もちろんある程度リーマンショックによる影響はあったものと考えられます。しかし、『デフレの正体』の著者、藻谷氏の分析は異なります。日本のデフレの正体は生産年齢人口の減少という構造的な問題なのです。

 若者の消費離れではなく、若者そのものが減少しているので、若者が欲しがるものの消費が総体として低迷しているのです。消費が低迷するので、メーカーは値下げをする。値下げする為にコストを削減、生産年齢層である若者の所得が増えない。若者が消費できない。このような悪循環(デフレ)に陥っているのです。

 一方非生産年齢層(高齢者)は増加しています。そして高齢者の中には富裕層があります。あまり消費しない高齢者のところに貯蓄が留まっているとのことです。


■中国は大市場
 リーマンショックによる一時的な不景気なのではなく、日本では構造的に消費が小さくなっています。しかし、中国からの観光客は大金を消費するといわれています。中国の工業化がどんどん進み、日本産業にとって脅威であるとの危機感が煽られていますが、見方を変えると、中国の工業化が進み、中国国民の所得が増加すると、市場がどんどん膨らむともいえるのではないでしょうか。

 もちろん、そのうち中国人は日本から物を買わなくなるのではないか、という漠然とした不安があります。ここで日本が考えないといけないのは、日本製品のブランド力です。日本が工業的に発展し、世界中で日本製品に勢いのある時期がありました。ヨーロッパの製品は売れなくなったでしょうか。日本人の所得が増えることによって、ヨーロッパのブランド力のある超高級製品が売れたのではなかったでしょうか。

 私は日本が世界に誇れるものとして、その将来性が期待できる産業を考えてみました。
・温泉旅館や料亭のサービス(外国人のためには個室化は必要かもしれない)
・高級日本酒(高級ワインが売れるように)
・日本の米をはじめとする農作物
・陶磁器や漆器
・和装、和装小物、茶の湯のような伝統日本文化にかかわるアイテム、和建築デザイン
・上質な家具、建築、庭園、洋服、機械式時計等の修繕、リフォーム
 など。

 しかし、これらのブランド力をあげなければなりません。上質な日本映画によってブランド力を高めるのもいいかもしれません。なによりも、日本の製品やサービスを日本人が粋に、お洒落に使いこなしている姿を外国人に見せたいものです。

■とはいえ、内需も必要
 23年度税制改正大綱によれば、相続税の課税ベースを広げ、その代わりに親族間の生前贈与にかかる課税を緩和しようとしています。また相続時精算課税制度の適用を孫に拡大しようとしています。すなわち高齢者が貯蓄を消費しないで持ったまま亡くなるくらいなら、生活資金を必要としている生産年齢世代である子や孫に生前に資金の贈与をしやすくしようとしているのです。

 しかしまだまだ不十分かもしれません。高齢者が貯蓄を消費しないのは、政府の高齢者福祉政策が信用されていないからではないでしょうか。年金制度は明らかに破綻してことを前提に制度が再構築されないと、とても信用する気にはなれません。医療保険制度も制度設計を見直さずにここまできたため、医師が過労死する状況まできているとのことです。年金制度や医療保険制度は人口が自然増することを前提に制度設計されていますので、制度は当然見直さないといけないのです。

 政府は安心の出来る高齢者福祉制度の再構築を急がなければなりません。但しその制度は、総ての国民に対し政府が保証をするような現在の制度を踏襲する必要はないと私は思います。富裕層は市場原理のもと民間企業での福祉を受けることを選択できる(公的福祉の枠外に居ることを選択できる)ようにすべきではないでしょうか。

 一方民間企業もデフレ脱却に真剣に取り組まないといけません。団塊の世代が定年退職を迎えるので、その補充のために、子育てや生活の為の消費活動が活発な生産年齢層の雇用を増やす必要があります。女性の正規労働者も増やすべきです。女性の所得を増やすと消費が増えるというわけです。景気対策は政府の仕事であり、何をしてくれるのか待っているというのではなく、市場経済で活動する民間企業自身がこのような対策を考えないといけないのです。



 自分の意見と異なる意見の本を一生懸命読んでも、あまり身につかないとう話を聞いたことがあります。自分が漠然と感じていたことを明確に言葉にしてくれる本があると、あっという間に読めてしまいます。『デフレの正体』はそんな本でした。
 
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ドラッカー『マネジメント』を読んで
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトルの本がベストセラーになっています。この本もなかなか面白いのですが、今回紹介するのは、その女子マネージャーが読んだ本家の「マネジメント」の方です。私が読んだのはエッセンシャル版ですが、さらにそのエッセンスを紹介します。私が理解した範囲で要約していますので、「その読み方違うよっ」ていうこともあるでしょうがご了承を。
(^_^;)

■企業とは何か
 ドラッカーは最初に「企業=営利組織ではない」といいます。企業は社会の機関であり、その目的は顧客と市場を創造することです。社会に存在する潜在的な欲求を有効需要にかえることが企業の社会的な役割であり、有効需要となってはじめて顧客と市場が形成されるのです。企業が求める利益は、それが目的ではなく社会にとって必要不可欠なものであるに過ぎません。利益と社会貢献は矛盾するものではなく、企業が高い利益をあげることによって、初めて社会貢献を果たすことができるのです。

■自社の事業は何か
 本書の中で、リーダーが考えるべきことは「自社の事業は何か、何であるべきか」である、という話が何度も出てきます。リーダーが組織を運営していく過程で、「何を行い、何を行わないか」、「何を続け、何を止めるか」の意思決定が強いられます。この判断をするためには「われわれの事業は何か、何であるべきか」を定義する必要があります。ただしわかりきった答えが正しいことはほとんどないとドラッカーはいいます。企業の挫折や失敗は、企業の目的としての事業が充分に検討されていないことが原因なのです。
 「われわれの事業は何か、何であるべきか」を考える出発点は顧客です。しかしこれもわかりきった答えが正しいことはほとんどなく、「顧客は誰か」との問いこそここの企業の使命を定義するのです。
 各企業、様々な業種が様々に顧客があり、事業の目的が異なりますが、同じ業種であっても企業ごとに事業の目的と顧客が異なるのではないでしょうか。いちどじっくりと顧客とは誰か、事業の目的が何かを考えてみていただきたいと思います。私もこの点を考えているところです。
 また「われわれの事業は何になるべきか」の観点も重要である、とドラッカーはいいます。『消費者の欲求のうち、「今日の財やサービスで満たされていない欲求は何か」を問わなければならない。この問いを発し、かつ正しく答える能力を持つことが、波に乗るだけの企業と成長企業との差になる』。

■実行に移す
 「われわれの事業は何であるか、何になるのか、何であるべきか」を検討するのは知識を得るためではない。行動するためであるとドラッカーはいいます。行動の第一歩は望むことではなく戦略的な計画を立てることです。戦略的な計画は、思考、分析、創造、判断により計画されますが、その手法が重要なのではなくて、その意思決定に責任を持つ覚悟から始まります。戦略的な計画とはリスクを冒すことであり、得るべき成果と比較して冒すべきリスクが必ずあるのです。
 リスクを冒すこととは、何かをすることとは限りません。何かを止める場合もあります。「もし今日これを行っていなかったとしても、改めて行おうとするか」を問い、答えがNOであるなら「それではいかにして一日も早く止めるか」を問わなければならないとドラッカーはいいます。そして行動するかしないかは、いずれかに決めなければならないものであって、妥協したり二股をかけたりしてはならないのです。

■プロフェッショナルの倫理
 顧客をもてなすためにコールガールを雇うことは倫理の問題ではなく美意識の問題です。このような企業の品位、人間としての美意識は倫理以前の前提の問題です。ここで取り扱うプロフェッショナルの倫理は古代ギリシャの医師ヒポクラテスの誓いにある「知りながら害をなすな」です。プロフェッショナルは、顧客に対して必ずよい結果をもたらすことを約束することはできません。最善を尽くすことしかできません。しかし知りながら害をなすことはしないと約束しなければならないという意味です。また、プロフェッショナルは顧客に支配、監督、指揮されてはならず、私的な利害ではなく公的な利害に基づいて自立していなければならないとドラッカーはいいます。専門家を職業とする私たちは、この点を充分考えないといけません。

■リーダーに必要な資質
 リーダーに必要な資質は「真摯さ」です。ドラッカーはいいます。「うまくいっている組織には、必ず一人は、手にとって助けようともせず、人づき合いもよくないボスがいる。この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない」。
 真摯さに欠くこととは@部下の強みより弱みに目を向けることA何が正しいかより誰が正しいかに目を向けることB真摯さより頭のよさに目を向けることC部下に脅威を感じることD自らに高い基準をもうけないこと、である。これらの要素を持つ者はリーダーにふさわしくない。

■企業トップの役割
企業トップの役割を四つあげておきます。@事業の目的を考えることA組織全体の規範を考えることB組織をつくり維持することC渉外の役割D重大な危機に際して、自ら出動すること。

■仕事の目標
 三人の石切り工の話が紹介されています。ここは興味深く読みました。
 三人の石切り工が何をしているのかを聞かれて、それぞれが「暮らしをたてている」「最高の石切りの仕事をしている」「教会をたてている」と答えた。どの石切り工が自分の仕事を理解しているのでしょうか。
 最初の男の答えは仕事で何を得ようとしているかの答えです。その仕事が石切りである必要はありません。しかし最も警戒すべきは二番目の男です。彼の場合、技能自体が目的となってしまっています。このような者は企業にとって危険なのです。最初の男は企業にとって利益にはならなくても、その扱い方によっては損にもなりません。しかし二番目の男は企業に損害を与える可能性があります。第三の男こそ仕事の目標を理解している者でなのです。リーダーは仕事の目標を明確にする責務がありますが、誤って第二の男を褒めたり、その技能を強調したりすると企業を間違った方向に導くことになります。

■小規模企業のマネジメント
 産業分野に応じて、小企業、中企業、大企業に応じた分野があります。常に企業規模の拡大が正しいとは限りません。しかし小企業は企業の限界的な存在とされる危険は常にあるのです。したがって小企業には際立った存在となるための戦略が必要です。ニッチを見つけなければならないのです。
 小企業は成果と業績に関係の無い分野のスタッフを抱えてはなりません。意味の無い製品や市場に資源を投入してはなりません。これらを賄うために売上を増やそうとする方法は成功しません。最も成功の可能性のある戦略は、事業の売却、切捨て、縮小です。可能なときには常に採用すべき戦略といえます。

■企業の成長
 成長には準備が必要です。いつ機会が訪れるかは予測できないのですから、常に準備しておかなければ機会は去ってしまいます。成長の準備について、特に次の三つを行っておかなければならないとドラッカーはいいます。@基本活動を明らかにし、それらの活動に取り組むべきトップマネジメント・チームを編成する。A変化のときを知るために、方針と行動の変化を要求する兆候に注意する。B心底変化を望んでいるか正直に判断する。
 そしてドラッカーはいいます。「成長が必要であるとの結論に達しながら、自らの行動を欲していないことを自覚するにいたったトップにできることは一つしかない。身を引くことである」。

 
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事業承継
先日のセミナーで話した内容を一部紹介します。

 (1)事業承継対策をしないと、どのような問題が起こるか。

@高齢の代表者が実権を握っていて、後継者に権限委譲がされない。
 中小企業によくある話です。特に代表者が創業者である場合には、亡くなる間際まで絶大な権力を振るう場合があります。後継者にとっては頼もしい存在である反面、非常に迷惑な話です。この場合、後継者は経営全体を掌握しておらず、債務や担保の状況、資金繰り、人事、経営見通などの幾つかの部分対する認識が甘いため、経営を引き継いだ直後に大問題を抱える場合があります。世間もワンマン社長が亡くなった後の会社の評価を低く見ています。大手企業の支店長や支社長クラスが40代に集中していることを考えると、後継者が45歳になる時期がひとつの目処ではないでしょうか。

A事業承継の準備をしないまま経営者の判断力が低下。
 事業承継は、まず誰を後継者にするかという点から始まります。息子は就職をしてしまって、帰って来ないかもしれない。一緒に事業をしている弟も高齢である。弟の息子を後継者に指名するべきかどうか・・・と迷っているうちに、世の中の流れの早さについて行けず、経営状態がどんどん悪化する。

B後継者に事業用資産の集中が出来なかった。
 創業者の父が亡くなったが、事業用資産は全て父の所有のままになっていた。勘当状態で家に寄りつかなかった弟が、他の商売で多額の借金を作り遺産分割がスムーズにいかない。または、創業者の妻と後継者の妻の仲が悪く、創業者の妻は近くに住んでいる娘に遺産を分割したがる。
 
(2)事業承継と相続対策は同義ではない。

例えば、目先の相続を考えた場合、同族株式の株式評価を配当還元方式を利用して、出来るだけ低く抑えて株式を贈与してしまい、相続時の被相続人の株式を出来るだけ少なくしておく、という方法が考えられます。しかし、孫の世代を考えてみてください、孫が経営者になったとき、会社に関わりのない従兄弟に株式を所有されることになります。従兄弟が居ない場合にはもっと複雑です。つまり最初に株式を贈与した、次男の妻の兄弟の子供(たぶん会ったこともない他人)に株式を所有されているかもしれません。贈与で返してもらう場合には、こちら側は中心的な同族株主ですから、かなりの税金が必要になります。時価で買い取ってくれという要求があるかもしれません。
 このように、目先の相続対策で事業用資産を分散すると、後の世代がとても迷惑するかもしれません。この点をよく考えてみましょう、というのが事業承継の中心的なテーマになります。
 
(3)後継者の教育

 さて、後継者対策の第一歩は、後継候補者を決めることです。他の会社に勤めている息子さんがおられるなら、出来るだけ早い時期に話し合って、互いの意志を明確にすることです。後継の意志があるのなら、45歳を目処に逆算して後継者教育を早く始めないといけません。息子さんにその意志がないのなら、出来るだけ早く見切って他の親族を捜し、親族に適当な後継候補者が居ない場合には、従業員から探すことも考えないといけないかもしれません。
 後継者の教育につては各種のセミナーもあります。ここでは割愛しますが、その他にJCやPTA、地域ボランティアといったような上下関係のない組織でのリーダーの経験も重要ではないかと思います。上下関係や雇用関係のない組織で人を動かす(人に動いてもらう)には自分の考えを人に理解させる情熱や真面目さ、筋の通し方、人を信頼して仕事を任せることなど、様々に学ぶことがあります。

(4)後継者への事業用資産の集中

@遺言書の作成
 遺言書がまず思いつきますが、相続人全員が合意したら、遺言書に記載された通りに遺産を分割しないことが出来ます。相続人たちに自分が死んだ後で遺言書を守らせるためには、相続人たちの心に訴えるような遺言書が必要です。誰に何を渡すだけではなくて、自分の生き様や、自分が死んだ後、どのように暮らして欲しいという思いを遺言書の前文に書くのは有効かもしれません。

A相続時精算課税制度の活用
 贈与者65歳以上、受贈者20歳以上2500万円まで、贈与税なしで贈与することができます。ただし、贈与資産の贈与時の時価で相続税の計算に算入されるので、単純な相続対策ではなく事業承継に利用されます。

B相続時精算課税制度の特例
 さらに、本年度の改正で、相続時精算課税制度が拡充され、中小企業のオーナー経営者が、自社株を後継者である20歳以上の子(代表者になる者)に贈与する場合、贈与者である親の年齢要件を60歳以上に引き下げ、非課税枠を3000万円に引き上げられました。ただ、この制度は要件が厳格なために、ちょっと利用しにくいかもしれません。

C金庫株買い取り
 創業時、親族や友人または個人営業時代の従業員などに自社株を分散しがちですが、しかしここまで説明してきたとおり、後継者のために株式の所有関係を整理しておき、後継者へ自社株を集中しなければなりません。現在の株主は、創業者自身はよく知っている人たちですが、後継者にとって一面識もないかもしれません。創業者自身が健在なうちに自己株式を会社で買い取ることによって、後継者に将来の揉め事を残さないようにしておくことが必要です。古参社員に持たせている自社株についても退職時にトラブルにならないように、きちんと整理しておくべきでしょう。

(5)後継者以外の相続人への配慮

 遺留分減殺請求される前に、感情的な問題を常々フォローしておきましょう。

(6)多額の負債がある場合

生命保険の活用や役員借入の債務免除の対策を出来るうちにしておきましょう。
 
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勘定合って銭足りず
(はじめに)
 同窓会のような非営利団体の決算書には収支計算書というタイトルが付けられているのを多くの方がご存知だと思います。収支計算書には資金の出入りが記入されていて、最終値は決算日の資金の有り高が表示されます。一方営利企業の決算書は最終値が利益です。この利益は公正な企業会計のルールに従って計算されます。また法人税や所得税などの儲けに対して課税する税金の儲けを表すものとして所得金額という言葉が使用されます。これらを上から順に収支計算・利益計算・所得計算という言葉でよぶことにします。収支計算・利益計算・所得計算という言葉は法律上の言葉でも学術上の言葉でもなく、この記事で便宜的に使う言葉です。
 さて、経営者は税理士や税務署に言われなくても常に収支計算をしています。資金繰りという言い方をしますが、資金の出入りを管理し、将来の資金予測をして借入等の資金の手当てをします。利益計算は決算書として表されます。決算書は銀行などの債権者、取引先から要求されますが、企業会計のルールに基づいて作成されますので比較し分析することに有用です。大企業の場合には決算書は株主に経営内容を開示する手段として作成されますが、中小会社の場合には株主と経営者が同じ場合が多いので決算書に表示するまでもなく株主は会社の経営内容を知っているはずです。所得計算は税金を計算する為の道具です。利益計算と所得計算は良く似ていますが、目的が異なりますのでそれぞれの目的に応じて異なる部分があります。
 利益計算は債権者や株主等に企業情報を開示することが目的ですので、それぞれの企業ごとに特有な事情を考慮して利益が計算されます。一方所得計算は税金を計算することが目的ですので、一定の計算方法を事前に周知しそれぞれの企業の特殊事情をできるだけ排除して所得を計算することが課税の公平につながるという風に考えられています。
 企業経営者には収支計算と利益計算・所得計算のそれぞれの違いをよく理解いただいて私たちがつくる利益計算の方法に基づいた試算表や決算書をご覧になり、さらにこれが申告書上で所得計算に置き換わること なり、そして税負担による資金繰りを収支計算にフィードバックするという点をご理解いただくためにこの記事を書き進めます。

(1)固定資産の購入と減価償却費
 固定資産を購入された場合には収支計算上資金は流出しますが、もちろん購入しただけでは利益計算上も所得計算上も費用又は損金や必要経費になりません。固定資産は使用されることによってその使用期間に応じて減価償却費として認識されるのですが、これを裏返しますと収支計算書に減価償却費は表示されません。この部分は収支計算と利益計算または所得計算の違いを生じさせる最も大きな理由の一つです。
 また利益計算と所得計算とも違いが生じることがあります。それは減価償却の計算に使用される耐用年数が原因です。減価償却はその固定資産が次に取り替えられる時期までの期間に応じて費用を配分する方法ですから、本来耐用年数はその次に取り替えられるまでの期間であるはずです。例えば木造モルタル作りの店舗であっても、国道沿いの飲食店と商店街にある老舗和菓子屋の店舗では建替えの必要が生じる時期は異なります。前者は頻繁にリニューアルするでしょうし、後者はできる限り同じ店舗で営業したいとのではないかと思います。ソフトウエアーやWebコンテンツ、映像などを扱う業者のパソコンは常に最高スペックが欲しいところですが、名簿管理だけにパソコンを使用している業者では未だに10年以上前のパソコンを使われているところを見かけます。このようにそれぞれの企業には、固定資産の利用についてそれぞれの事情があるのですからそれぞれの企業に応じた耐用年数で良いはずです。利益計算上の耐用年数はこのように考えられるべきであって、実際京セラの稲盛氏の著書を読むと、京セラでは自社の経験に基づいた耐用年数表を作成してこれに基づき決算書を作成されているようです。一方所得計算では資産に応じた耐用年数を決めて公表しています。これが法定耐用年数と呼ばれるものです。企業独自の耐用年数を定められても、その精度にどの程度信頼が置けるのか、または利益操作などの恣意が介在しないかという点が問題になります。この問題が解決できないのであれば課税の公平は保てません。そこで法定耐用年数を定めてこれを公表すことによって課税の公平を保とうとしているのです。このように考えると減価償却費の計算は利益計算と所得計算とで異なるということが分かります。
 企業が固定資産を使用する場合において、収支計算・利益計算・所得計算をイコールにする方法はリース契約を利用することです。リース契約を利用することによって資金繰りを単純化することはできます。しかしリース契約にはデメリットもあります。資金の負担総額はもちろん多くなります。中途解約ができず、リース期間終了後には返却するのが原則です。どちらが有利かは一概に言えません。内容をよく理解した上で状況に応じた判断が必要になってきます。

(2)支払い条件を考える
 先月50万円の売上、今月100万円の注文、来月には1千万円の取引が予定されている得意先が最近できたので、当社も順調に売上が伸びる予定です、というお話がある場合。私たちは支払い条件は大丈夫ですか、とお尋ねすることになります。意外にも支払い条件がきちっと約束されていない場合があるのです。1千万円の売上はありがたいことですが、入金されなくては仕入れ金額を払うことも、従業員に給料を払うこともできません。売上代金の集金を30日後に仕入れ代金の支払を35日後にすることによって何とか仕入れ代金の支払をすることはできますが、従業員の給料は毎月きちんと払ってやらないといけません。これが手形になると90日も先でないと資金化しません。1千万円の90日手形の売上より100万円の即金の売上の方がありがたい場合もあるのです。売上直後に決算日を迎えるともっと大変です。決算日から2ヵ月後には税金の資金繰りをしないといけません。所得計算上は売上に計上されていますので資金が未回収なのにも関わらず先に税金を支払わないといけないからです。さらに1ヶ月目50万円即金で売上、2ヶ月目も100万円即金で売上、そして3ヶ月目に1000万円の手形売上と注文が増える新たな得意先には注意しないといけない点があります。取り込み詐欺の恐れがあります。3ヶ月目の1000万円の出荷までに相手を充分調査する必要があります。出荷してから気づいたのでは、たとえ相手が警察に捕まっても取り返すことは非常に困難です。

(3)売掛金を管理する
 商品を売り上げる場合30日後に売上代金が入金され、35日後に仕入れ代金が支払われるのであればうまく資金が回ります。しかし売掛金が30日後に入金される予定であったのに入金されない場合にはたちまち資金ショートを起しかねません。売掛金の回収には充分注意しないといけませんが、売掛金の回収遅れは必ずしも相手の資金状態によるとも限りません。得意先ごとに売掛金を管理すると特定の得意先の回収が一部遅れていることに気が付くかもしれません。そのような先が複数あり、これが同じ営業マンの担当であるならばその担当者に原因がある場合もあります。強引な売りつけや回収条件を勝手に変更した売りつけがあるのかもしれません。担当者に任せきりで、会社が受け取っている請求書と得意先が受け取っている請求書が別物で、その担当者が横領しているケースも無きにしも非ずです。売掛金を得意先ごとに担当者ごとに管理するのは経営者や管理者の職務です。

(4)すわ、リストラ
 企業にとって最大の固定費が人件費であることは多くの企業で同様だと思います。人件費とはもちろん給料だけでなく、社会保険料なども含みます。社会保険料が政府の運営の失敗により年々引き上げられるのも憤懣やる方なしというところです。従来から人件費は年功と残業時間で計算する方法が多く採用されていました。これは計算が単純だからです。しかし年功が能力と比例していないことはもちろん、残業手当てにも問題が指摘されてきました。同じ仕事をさせたのに、時間内に仕事を終わらせた者の方が給料が安くなるという点です。このような問題を解決するために人件費を変動費化することによって資金繰りを改善しようとする努力が払われます。例えば正社員をリストラし、パートタイマーと派遣社員で賄う方法です。
 しかし一概にこの方法が良いとは言えない場合もあります。企業には儲かるシステムが必要ですが、このシステムの大きな位置をマンパワーが占めているからです。儲かるシステムに貢献できる人材を育成し、その貢献度を評価することによって人件費を変動費化できるのではないでしょうか。この評価は非常に難しいと敬遠されてはいますが、与えた仕事を期限内に完成させることができるのか、自分にできる仕事を割り切って、難しい仕事を途中で投げ出してしまうのか、完成させた仕事の完成度はどの程度か、プラスアルファーが付いているのか、といった点を評価する為には従業員とのコミュニュケーションが必要です。リストラ・パート・派遣社員の前に評価方法の変更を考えてみてはいかがでしょうか。私は大企業が何百人も何千人もの従業員をリストラする様子をみて疑問を持つことがあります。企業には雇用の場の提供という社会的役割と責任があります。リストラは会社存続の最後の手段であって、この切り札を使ってしまった経営者は退任すべきです。

(5)当社製品が大ヒット
 新工場を増設する前に大ヒットの原因が何かを考えて見ましょう。洗濯板で洗濯していた時代に洗濯機が出来てこれが大ヒットしたのか。洗濯物を上から入れていたのが、横から入れるようにして大ヒットしたのか。白物家電といわれていた洗濯機をカラフルなものにしたから大ヒットしたのか。洗濯板が洗濯機になった時点で文化が変わったのです。洗濯機の形や色が変わったのは単なるブームです。文化を変えるぐらいの大ヒットであるならば新工場の増設も必要です。でもブームだけでヒットしているものは危険です。新工場を増設し大量生産体制が整ったころにはブームは去っているかもしれません。自社工場ではなく外注で賄った方が良いかもしれません。
 洗濯機と同じような例は、ソニーのウォークマンでもいえます。ステレオ音楽は大きなステレオで部屋で聞くものだったのを、路上に持ち出しました。このときに新たな文化が生まれたのです。その後携帯音楽プレーヤーがMDやデジタルに変化してきましたが、技術が進歩しただけで新たな文化が生まれるに至っているようには思えません。何か新たな文化を生むような大ヒット製品を思いつきたいものです。

(6)最後に在庫
 固定資産のところで、収支計算と利益計算または所得計算の違いを生じさせる最も大きな理由の一つです、と書きましたがもう一つの理由がこの在庫です。最近店頭の商品を毎日オンラインで管理している企業が出てきました。店頭で売れた商品を売れた数量だけメーカー側に発注することで極力在庫を持たない努力が払われています。メーカー側はたまったものではありません。注文があったいろんな種類の製品をごく少数明日までに出荷しなければなりません。結局のところメーカー側では見込み生産をすることになってしまって、在庫リスクをメーカーが一身に背負うことになっている場合があります。しかし相手方が在庫リスクを負ってく れた時代に後戻りすることも期待はできません。嘆いてばかりはなくメーカー側も徹底的に在庫管理をしないといけない時代になってきています。零細な町工場では棚卸しに使う労力がなくて、厳密な棚卸しができないと割り切った経営者も おられるかもしれません。しかし棚卸しは税金を計算する為にするのではありません。実地棚卸しをすることによって不良在庫を明確に区分しましょう。不良在庫であってもその取得にはお金がかかっています。これを捨てるには惜しいと思われる経営者の気持ちも分かります。しかしお金に換わらないのなら 、ごみの山を保管する倉庫に費用を使っているようなものです。不良在庫は出来るだけ早く叩き売ってでも資金化する。資金化できなければ思い切って処分するべきでしょう。ごみの山で足の踏み場も無い会社では同じ消耗品を何度も購入して会社内で行方不明になっています。 不良在庫を処分することによって、ごみの山に隠れていた文房具が入った箱を発見するかもしれません。さらに実地棚卸しと平行して帳簿棚卸しを勧めます。実地棚卸しと帳簿棚卸しの差額は、請求漏れや二重請求などのミス。さらに盗難や横領などの不正を発見するかもしれません。実地棚卸しや帳簿棚卸しは決算期 だけでなく頻繁に、出来れば毎月行われるべきです。そんなことばかりしていたら現場の仕事が出来ないおっしゃる経営者もおられるかも知れません。経営者自ら現場の仕事をしていて会社を管理する時間がないとおっしゃるのなら、それは本末転倒です。 その経営者は経営者の仕事をしていないからです。経営者は経営者の仕事をしないといけません。


 この記事は平成17年10月15日に出川税理士事務所セミナーでお話した内容の一部を整理したものです。


2005.10.15

 
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保険契約の見直し
 企業経営者の皆様方の中には、積極的に生命保険契約を活用されている方々も沢山おられますが、あまり関心をお持ちでなかったり、またはできれば関わりたくないと思っておられる経営者の方々も沢山おられます。現在契約されている保険内容などをあまりご存知でないこともあるようですが、いちど確認されてみてはいかがでしょうか。
 まず、企業を経営されていて、過去の設備投資などにより多額の銀行借入金が残っている場合には、経営者にもしもの事故あるときに充分な保障が確保されているでしょうか。中小企業の経営者は、企業にとって最も重要な営業マンであり、技術者である場合が殆どです。経営者自ら企業経営を一身に背負っていても、個人保障されているであろう銀行借り入れは、たとえ企業が継続しなくても次世代が負わなければなりません。
 逆に保障の必要がなくなっている場合もあります。企業経営者に関わらず個人的な生命保険の場合にも当てはまりますが、長期に同じ保険契約で掛け続けているような場合です。被保険者が若い場合には子供も小さく、もしもの事故あるときには妻子の生活に必要な 保障が必要です。しかし年月が経過し子供も独立した後ではむしろ自己の老後の生活資金を確保することの方が重要になってきます。企業経営者の場合でも例えば設備資金の銀行借り入れも返済が終わり、経営も専務に任せて大丈夫、という時期に経営者を被保険者とする大型保障は必要ありません。むしろ退職資金の積立の方が大切になってきます。
 ニーズは時の経過により変わってきます。同じ金額の保険料を支払っているのに保険の内容によって結果が大きく異なります。


 
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日本の人口の減少
  国立社会保障人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」によりますと、2006年に日本の人口はピークに達しその後減少していきます。この資料は平成14年度の推計に基づいており、さらに人口減少のスピードが速まっているという予想もあります。戦争などに拠るのではなく、自然に人口が減少する社会をいまだ私たちは経験したことがありません。何が起こるのでしょうか。何事も時間がたてば自然に拡大するという私たちの常識が覆される社会です。


■ 国内市場は縮小する
 従来、市場の拡大は人口増加を当て込んでいた部分があります。しかし今後人口増加による国内市場の拡大はありませんので国内市場のための大量生産という生産形態はなくなります。従って生産は売上ベースを競うのではなく、いかに高付加価値の製品を供給できるかを競うようになっていくでしょう。需要は大量生産品ではなく丈夫で良いものに移りますので、買い替えによる市場は減少します。一方で修理や改良の需要は増えるでしょう。職人の世界が見直されるかもしれません。

■ 労働力は減少する
 明らかに労働力は減少します。先ほどの「日本の将来推計人口」によりますと、30年後の2047年15歳から64歳までの人口は2900万人近く減少しています。現在の人口を100%とした場合の66%の人員しかいません。外国人労働者が入ってくるかもしれません。

■ 年金制度は・・
 年金制度の運営は非常に困難になります。外国人労働者が入ってきても年金保険料を負担してはくれません。年金は今後100年間大丈夫という気の抜けた政策は問題を先送りにしているだけでなく、問題をさらに深刻化させています。「日本の将来推計人口」によれば30年後65歳以上人口だけが1000万人増加しています。介護保険制度も既に破綻の兆候が表れ、財源の一部が市町村に移ることになるようです。自らの老後を守るために自ら何らかの手を打たないといけません。税負担による福祉政策は行われるでしょうが、生活最低限を保障するものでしかなくなるでしょう。

■土地は余る
 土地は余るに違いありません。しかし、地方の鉄道やバスなどは利用客が減るので本数が減っていき、廃線になるところが出来くるでしょう。もしかすると道路も維持できなくなるかもしれません。結局のところ多くの人は狭い都会にひしめき合って住むことになるのではないでしょうか。地方では農業が見直されるかもしれません。広大な土地で効率的な農業を行う環境を整えることは出来るでしょう。一番応えるのは郊外の新興住宅地です。郊外の安い物件を求めて都会から来た人たちは、都会に戻って行き、乱開発されたゴーストタウンが残されるのではないかと危惧します。

■国際的な発言力の低下
 日本の人口が減少しても、世界の人口は当面増え続けます。日本は人口的にも経済的にも小国になり、日本の世界に対する発言力はますます低下しかねません。国際的な発言力のある人材の育成は重要になります。日本は今後ますます国際社会とうまく付き合わないといけなくなるからです。能力のある人は日本の中に閉じこもってはいないでしょう。しかしそのような人材が海外で活躍してくれることが日本の将来にとっても大切になります。国際的な発言力のある人とは自らの理念に基づいて意見を表明することが出来、かつ他国文化を尊重するというマナーを身につけた人だと思います。もちろん充分な知識と専門的スキルが無いとそもそも海外に活躍の場はありません。

私たちは、自らの将来の為にどのような準備をし、私たちの子供の世代の為に何を準備してあげないといけないのでしょうか。今までの経験を超え、想像力を活発に働かせないといけません。
 
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