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フランス人は10着しか服を持たない

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景気判断に基づいて、消費税の10%増税は延期され、解散総選挙が行われますが、景気動向よりも、その質が重要だということに気づかされる一冊です。

 カリフォルニア出身のアメリカ女性の著者がパリに留学したことにより、フランス人のライフスタイルから学んだことが書かれています。項目は食事、ファッション、健康、化粧、マナーなど女性的な内容ですが、本質的には毎日を最良の日として過ごすライフスタイルについて書かれています。

 日本人のライフスタイルは、アメリカに劣らず多くの無駄づかいに金を消費をしています。無駄づかいを抑えれば、景気が悪くなるとさえ考えられているような風潮があります。

普段使いと特別な日の為に使う物とをわけて、普段の日々を大量の安物に囲まれて無為に過ごすのではなく、毎日が最良の日になるように、お気に入りの良質な少数のものにだけ囲まれて過ごしたいものです。

国民がこのようなライフスタイルを身につければ、景気は決して悪くならず、しかもデフレも解消するのではないかとも思うのです。

「フランス人は10着しか服を持たない」(ジャニファー.L.スコット著 大和書房)

2014年12月01日

日本の職人技を見直す

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 先日、アメリカ人の和包丁職人の話をテレビで見ていて考えさせられてしまいました。

カーターさんは和包丁に魅せられて日本の鍛冶屋で修業をし、日本伝統の職人技を受継いでいます。カーターさんの和包丁は和食・洋食を問わず超一流の料理人が愛用しているのです。

 日本の優秀な職人技が、日本人に引き継がれず、かろうじて外国人に引き継がれたことに、とても不安を感じました。長年、日本で培われた職人の技術がどんどん途絶えていくのではないかという不安です。

大企業のサラリーマンになって、安定した給料と退職金、そして老後の手厚い年金による生活だけが理想の人生でもないはず。

職人の技術を伝承することのできる社会環境が必要なのではないでしょうか。一律にデフレ・インフレを論じているのではなくて、良い物は高くても買うという文化の育成が大切なのではないかと思うのです。

2015年02月03日

金の仏像は相続税対策にならない

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 今年(平成27年)1月1日以後に開始した相続について基礎控除が引き下げられたことは、ご存知だと思う。
相続対策として、金の仏像や仏具の購入が相続税対策になるというのが巷の噂になっているが、これには注意しなければならない点がある。

金の仏像の購入が、相続税対策になるという理屈の根拠は、相続税法12条の「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準するもの」については相続税の課税価格に算入しない旨の規定だと思われる。

相続対策というからには、相続税の支払い時には相続税がかからず、しかし相続人に対してはそれなりの財産的な価値のあるものを残したいということではないだろうか。ところが「祭具並びにこれらに準ずるもの」、すなわち信仰の対象には換金性の財産的な価値が無いから非課税なのだ。

金の仏像を承継した相続人は、これを売りとばして金(かね)に換えるという罰当たりなことをするのだろうか。もちろんするのである。罰当たりなんか気にしていないのである。とするとその金の仏像はそもそも信仰の対象ではない。信仰の対象ではないのだから「祭具並びにこれらに準ずるもの」には該当せず、単なる金でできた工芸品にすぎない。従って非課税財産には該当しない。

「相続税対策として、金の仏像を購入する」という文脈そのものが理論矛盾なのである。もちろん信仰の対象であるか否かは主観の問題であるから、国税当局が主観の嘘を証明するのは困難であるという話がこの節税話の本質なのだが、それでは節税ではなく脱税をごまかす手段に過ぎない。


2015年02月14日

私のスケジュール管理法

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スケジュール管理はスマートフォンで行っている。事務所のスタッフ全員が予定をパソコンに入力しているので、いつでもどこでも全員の予定を確認できる。

 ところで、私はB5サイズの見開き一週間のカレンダー式の大判の手帳を別に持ち歩いる。こちらには仕事の期限の日、その期限に向けての作業をクリアすべき中途目標の日、その他のToDo等を書き出しておく。このノートを始終確認して、終わったことは消し込んでいくのが楽しい。小さなToDoも書き込んでおくと、隙間時間が有効に使えるようなる。ご参考までに。

2015年07月22日

家業を継ぐ

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この間、息子に、大学を出たら就職せずに自分の店を持ちたいって言ってる子、いる?って聞いたら、そんな話聞いたことが無いって言う。

多くの子供達が大学に行くのはいいことなんだけど、大学で就活して皆んながサラリーマンにならないといけないという社会では、私たち税理士も困まる。

家業を継ぐという若者もめっきり減っている。

僕より10歳ほど若い友人の経営者が、子供に仕事を継げと強いるのではなく、子供が親の仕事をしたいと思うような親の姿を見せないといけないって言ってるのを聞いて、なるほどと思った。

自分の店を持ちたいとか、頑張ってる親の姿を見て家業を継ぎたいとか、人には真似できない技術持つ職人になりたいとか、そんな世の中が活気ある社会なんじゃないかと思う。

大学出てからでいいのだ。これからの時代、大学では幅広い教養を身につけ、異文化に対する寛容な価値観を持つことも大切だと思う。

でも皆んなが、サラリーマンにならなくても、大学出の職人や、商店主が沢山生まれて欲しい。

そんな世の中にするために、税理士としてどんな手助けができるだろうかと、最近よく考える。

2015年11月27日

現金を管理しなければならない訳

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法人企業の場合はもちろん、個人企業の場合でも、集金した売上代金はあなただけのものじゃない。

仕入先の取り分も、従業員の取り分も、税金としての国などの取り分もある。

集金した売上代金は、一旦あなたがいろんな人を代表して預かったお金だ。だから企業のお金を使うときには、必ず記録を残さないといけない。経営者としての最低限のマナーだ。

経営者自身が帳簿をつけなくても、帳簿をつけてくれる従業員を雇って、経営者は小遣いをその従業員からもらい、経費の支払いを全てその従業員に任せてもいい。

ただし、この場合には、その従業員の責任は重大だし不正を生む土壌にもなりかねない。経営者が小遣いから支出したものは、一切経費にしないという覚悟も必要だ。だって、あなたには記録ができないのだから。

やはり経営者でいたいなら、お金の管理ができなければダメだ。自分は技術畑の人間だから、経営は苦手だというのは、面倒な事務作業から逃げたい口実に過ぎない。

言っておくが、事務作業が面倒なのは誰でも同じ。税理士は事務作業が好きなわけでも得意なわけでもない。税理士は事務作業を丸投げする相手ではない。記録がなければ、僕たちの知識やスキルは役に立たない。

2016年02月05日

節税とは適切な選択をすることだ

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節税という言葉が意味するところは多様だ。今年は利益が出たので、良い節税の方法がないかと尋ねられるとどのように答えるべきか困ってしまう。

利益が出たときに節税策として、巷に蔓延している合法的と言われている方法について、僕も合法的だと思ういくつかの方法を紹介することはできる。しかし、それらは目新しいこともないし、その手の本を見れば同じことがあちこちに書いてある。

質問をした経営者は、それ以外の方法は無いかと聞いているのかもしれないが、利益が出ているからといって、その利益を圧縮する魔法は無い。お金の使い方について、より良い選択をすることが節税なのだと僕は思う。だからじっくりと話を聞いてみる。

例えば、新規事業への参入を考えているとか、近くに空き物件が出たので購入したいとか、社用車の買い替え時期が来てるとか、福利厚生を手厚くして良い人材を確保したいとかといった話だ。

このような事情がある場合に、その新規事業や、固定資産の取得をどのような方法でするのか、どのような資産を購入するのか、どんな制度があるのか、どんな特例が使えるのか、毎年の収入と支出はどう変化するのか、適用される税率はどのようになるのか、株価がどのように変化するのかといったことをシミュレーションして、より良い選択をするためのアドバイスができる。

節税のためだけに、通常行わないような特殊な支出をするのは死に金だと思う。生きた金の使い方を考えないといけない。このような訳で、僕は節税という曖昧な言葉が嫌いだ。あえて言うなら「適切な選択」とでもいうべきだろうと思う。

2016年02月07日

書類の整理いやになりますよね

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僕が今日やっていたのは、お客さんから預かった土地の売却にかかった書類の整理だ。袋の中に必要と思われる書類がたくさん入っている。子供のころから知っている、とっても年配のお客さんだから、ちゃんと整理してくださいねって言っても無理だろうなと思い、袋の中身の整理にとりかかった。

何がややこしいのかというと、請求書・見積書・計算書・領収書・これらの再発行の書類、そしてそのコピーなど、同じ内容を示す複数の書類が入り混じっている。

応接用のテーブルにこれらの大量の書類を出してみて、同じ内容を示す書類を分類することから始めた。このとき役に立つのは大量のクリアフォルダだ。アマゾンから100枚単位で買ってある。

一つの取引内容を示す書類は、一つのクリアフォルダに入れる。5枚の書類が入るものも1枚しか入らないものもある。1枚だけだからといって一つのクリアフォルダに複数の取引を示す書類を入れてはいけない。だから大量にクリアフォルダを準備して贅沢に使う。ただし、土地の売却に関係の無い書類は関係ないグループとして一つのクリアフォルダに入れる。

書類でパンパンだった紙袋の中身をクリアフォルダに整理して重ねるだけで、気分がスッキリ!

2016年02月15日

仕事の切り上げとき

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法人の決算を組んでいたり、個人の申告書を作っていたり、相続税の申告の為に財産評価をしていたりすると、仕事の切り上げどきが難しい。

できれば一気に仕上げてしまいたい。気になるいろいろなことを覚えてるうちに。

一旦仕事を中断すると、残念なことに忘れてしまうのだ。仕事を再開して、ずっと奥まで進んで、さっき気になったことを思い出してうんざりする。

かといって、一気に仕上げるだけの時間的な余裕が無いことがよくある。無理に仕上げようとして約束の会議に遅れてしまうのも困る。

仕事は小さい単位の一まとまりに区切って、その区切りまでたどり着けば、その仕事を引き継ぐ将来の自分宛のレポートを書く。この時点を今の自分に与えられた仕事の切り上げどきとする。

このレポートが分かりやすければ、今までやっていた仕事を綺麗さっぱり忘れて、心おきなく別の仕事に集中できる。

将来の自分宛にこまめにレポートを書くコツは、ちょっと高くても気に入ったノートブックを買って、気に入ったペンを使って書くことだ。

2016年02月17日

ちょっと昔話をひとつ

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僕が親父の事務所を手伝いだしたのを機に、うちの事務所にもコンピュータがやってきた。NECのN5200という16ビットのコンピュータだ。

8ビットのホビー用のパソコンが出だした頃で、16ビットのオフコンはかなり高かったんだと思う。

このコンピュータで動くランプランという表計算ソフトが優れものだった。当時は減価償却を手書きで計算していたので、ただひたすら減価償却費の計算だけをする事務員さんがいたぐらいだ。

減価償却ソフトはまだ市販されていなくって、僕がこの表計算ソフトで最初に作ったのは減価償却の計算表。

ただし、このコンピュータはメモリ増設後でも、やっと256kバイトしかなくって、作業用の空きメモリがほとんどない。

一度に減価償却資産を10個ほどしか計算できない。しかし、このランプランにはカタログ機能といって、一定の操作コマンド実行の順番を登録することができたのだ。今でいうマクロだね。

一回に10個の資産しか計算できなくても、計算結果を集計表に順次コピーして100件の資産の償却だってできた。さらにその集計表の階層を重ねることによって1000件の資産の減価償却だってできた。

時間はかかったけど。手書きでするよりもよっぽど早く、追加、削除の修正後も綺麗に印刷できるし、計算違いや償却限度超過も無くなった。

なんだか今では当たり前ですけれどね。

2016年02月22日

パソコンに使われてはならない

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さっきの昔話は、この記事を書くための伏線だったのだが、さっきも言ったように僕はかなり早い時期からパソコンと付き合ってきた。

そして、仕事でパソコンを使う上で、たくさんの失敗もしてきた。その失敗は要するにパソコンを使うことによって、かえって効率が落ちたというものだ。

手作業だった事務作業の全てをコンピュータ化しようなんて、決して思ってはならない。

僕がコンピュータに出会った頃には、コンピュータでなにができるのかがまだよくわからなかったから、いろんな作業をコンピュータ化しようと試みてみた。

その経験から分かったことは、コンピュータ化に向くことと向かないことがあるということだ。

例えば、会計ソフトは複式簿記を簡単にしてくれた。かつて人的なスキルだった総勘定元帳や試算表の作成が、複式簿記の知識が少なくても簡単にできる。

(ある程度の簿記の知識がないと出来上がったものがデタラメということもあるが)

この会計ソフトの勘定科目には補助科目をつけて、様々な残高管理に利用することができる。これは便利だけど、その利用目的を明確にしておかないといけない。

受取手形勘定に得意先ごとの補助勘定をつけたり、手形期日ごとの補助科目をつけたりする前に、手形帳を作っているなら、二度手間ではないかと考えてみる。

一方で、売掛金勘定に得意先ごとの補助勘定をつけることについては、会計ソフトには現金預金や仕入れ相殺も入力するから、売上帳の回収欄の転記漏れが防げる。これは少し手間がかかるが役に立つという判断ならそれも良い。

やたらに補助勘定が設定されていることがあるけど、何を管理したいのか目的をはっきりさせてから取り組まないといけない。

補助勘定を作ると、各勘定残高以外に補助勘定同士の入れ違いなどで、主勘定の残高はあっているのに補助勘定間の残高管理までしないといけなくなる。無駄な労力だ。

凝ったエクセルの表を作ると人がよくいる。文字や罫線の種類や色、セルの色もカラフルで、かえって見にくい。いろんな率が計算されているけど、何の役に立つのかわからない。住所や名前を入力すると勝手に振仮名が入るって余計なお世話機能の付いた表にお目にかかったこともある。

趣味で凝った表を作るのは勝手だが、仕事の場合には何の目的でその表を作るのか、本当にエクセルで作ることが効率的なのかをしっかり検討しないといけない。

一回きりの表なら、項目欄は、他の資料のプリントを切り抜いて糊で貼り付ける。数字はシャーペンで書き込む。レポートで残したいなら、この切り貼りしてシャーペン書きした物をもう一度コピーする。小計が必要なら、マーカーを引いて集計項目を区分する。

何でもかんでもエクセルで作る前に、手作業とどちらが早いか、エクセルで作れば一回目は時間がかかっても一度作ると二回目からは格段にスピードアップするのか、一旦立ち止まって考えてみよう。

2016年02月22日

長時間座っているのは健康に悪いのはわかっているのだが

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2月、税理士にとっては健康に悪い時期だ。この時期に事務所で亡くなった税理士の話を聞いたことがある。

12月決算法人も多いし、個人の確定申告が重なる。どうしても長い時間座っていることになってしまう。

個人の確定申告時期が終わって、3月から4月頃によくギックリ腰になっていたので、体重を少し落とすように注意はしていた。

座っている姿勢にも問題があるのだと思い、姿勢矯正用の座椅子を買った。MTGのボディメイクシートというのを使っている。

普段使っている椅子に置くだけで座ったときの姿勢を正してくれるし、深く座ると肋骨の下の部分を支えてくれるので、腰にかかる負担を軽減してくれる。

最近、長く座っていると心臓にも負担がかかっているという話も聞いた。

脚の静脈には弁が付いているということは学校で習ったので知ってはいたが、歩くことによってこの弁が作用して血流を促すので心臓の負担を助けるらしい。

そこで、着圧ソックスを買ってみた。写真は小林製薬のムクミキュアだ。

本当は適度に運動することが一番良いのだろうが、どうしても座ってる時間が長くなるようなら、こんなグッズも活用してみてはどうだろうか。

ご参考までに

2016年02月25日

在庫が減ると利益は減るのか増えるのか

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在庫が減ると、利益は減りますという説明がされることが一般的です。ところが、経理スタッフが「在庫が減ると利益が増えるのではないのか」と経営者に聞かれて、うまく説明ができずに先生に説明をお願いしますと頼まれたケースがあります。

 なるほど・・・このケースを分かり易く説明できるかどうか、というところは説明の力量が問われますね。

ちょっと文章にして整理してみることにしました。果たして皆さんに伝わるのだろうか・・。

(1)何と比べて、利益が増えるのか減るのか
 経理スタッフが、「在庫が減ると利益が減る」と説明したことが間違いではありませんが、経営者が「在庫が減ると利益が増える」のではないかと疑問を持ったこともうなずけます。

 この場合、何に対して利益が減る、または増えると言っているのでしょうか。その比較の対象が異なっているために話が食い違うこととなるのです。

(2)在庫が減ると利益が減るという説明

 ある月の売り上げに対するコストの計算を、

 月初在庫+当月仕入-月末在庫=当月売上原価(売上に対するコスト)

の方法で行っている場合

 月初在庫と月末在庫を比較して、月末在庫が増えていればコストの減少、月末在庫の方が減っていればコストの増加を表します。

 経理スタッフの説明は、単純に当月の売上金額から当月の仕入金額を引いた利益よりも、月末在庫が月初在庫より減った分だけコストが増加しているので利益が減少していますよ、と説明しているのです。

比較の対象は、在庫集計という作業をする前の帳簿上の利益です。

(3)在庫が減ると利益が増えるという説明
 経営者の感覚としては、在庫が減った分、商品が売れているのだから利益は出ているはずだということなのです。しかし、この説明が正しい結果となる為には前提条件がいろいろあります。

 ①その月には、不良品、クレームなどのロスや営業の必要等の為の値引き販売が無く、全ての売り上げが正常価格で販売されていた。
 ②仕入の数量も、毎月定量を仕入れている。
 ③正常な売価には当然コストを上回っていて、適正な利益が出るように設定されている。
 
このような条件を前提とする場合にも、月初在庫より月末在庫が減少した分だけコストが増加しているのは同じです。ただしコストの増加分より多く売り上げが増加しているはずですから、前月と比べて利益は増加しているという説明がでてきます。

この場合の比較の対象は前月の利益です。ただし、上記の要件を満たしているときに限りますので、在庫の比較だけでは、前月に比べて利益が増えているのか減っているのかはわからないのが通常です。

(4)経営者にとっては資金繰りも重要
 在庫が増えているから利益が増加しているなんてとんでもないという感覚は、経営者にとってもっともな経営感覚です。だって売れない在庫なんて、給料にも納税資金にもなりませんから。にもかかわらず、前期より在庫が増えた分はコストから控除されるので、資金繰りは苦しいのにさらに税金が増えるのはおかしい! そうです、過剰な在庫を持ちながら税負担が増えるという窮地に陥りますので、適正在庫管理はとっても重要なことなのです。

 

2016年06月03日

今日、出版社から届きました!

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今日、出版社から届きました。私も3本の記事を書いています。6月22日ごろから書店に並ぶらしいので、皆様よろしくお願いします。

売れますように

2016年06月16日

出来るだけ精密な資金繰りをしたい(小規模事業者用)

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例えば、個人事業者の場合そろそろ29年分の総勘定元帳が出来上がっている頃でしょうか。

この前年分の総勘定元帳の現金預金をcsvで書き出して、エクセルで開きます。(もちろん会計ソフトを使用している場合に限りますが。)

この去年のデータから、去年の特殊な事情による入出金の項目を削除します。

日付の年の部分だけを今年の年に、一括で置き換えます。

エクセルのデータベース機能で、日付順に並び替えます。

1月1日の現金預金の残高を先頭に入れて、前日の残高に今日の入金を足して、出金を引く計算式を残高欄として作ります。

精密な年間の資金繰り表ができるので、この表を元に、今年の具体的な、入出金にその都度修正をしていきます。

何月、何日ごろに資金がショートしそうだとか、余裕がありそうだとかがよくわかります。

この表を元に、支払いのタイミングや、仕事の進め方、仕事の優先順位、請求のタイミングを計画的に進めることができますよ。

2018年02月22日

贈与税の申告が必要ですよ

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 先日、京都でタクシーに乗ったのですが、税理士関係の会合へ行くために、行き先を説明したのですが、その際、僕が税理士だということも説明しました。

運転手さんから、住んでいた家を娘に贈与したのだけれど、税金はかかりませんよねという相談を持ちかけられました。

行き先までの短い時間だったのだけど、どうやら相続時精算課税の話らしい、申告書を提出しないといけないので、税務署でその話をもう一度して、指示を仰ぐようにアドバイスしました。

タイトルに掲げた相続時精算課税制度や配偶者控除、住宅資金の贈与の非課税などの、贈与税の特例は、それぞれの制度の適用要件を満たしていることを証明する書類を添付して、これらの制度の適用を受ける旨の申告をしないと適用がありません。

親子の場合や、夫婦の場合はこの金額まで税金がかからないというような話を友達に聞いたというだけでは、後で大変な税金がかかってくるので、くれぐれもご注意ください。

2018年02月24日

フィンテック対応会計ソフトの使い勝手

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お客さんの協力を得て、フィンテック※対応会計ソフトで、個人事業者の決算を2件やった感想。
 
①ネットバンキングの摘要からの自動仕訳は概ね良好。

②ネットバンキングのデータ取り込みをお客さんにお願いしているのだが、違う預金口座への取込みミスは起こり得るので、紙ベースの取引明細との照合は必要。こまめに照合しておけばそんなに手間ではない。

③今回は、現金預金だけを取り込んでもらっていたので、売上、仕入、手形、給料はこちらで入力したが、入力方法を定型化&簡素化して、徐々にお客さんで入力してもらうように工夫したい。ちょっと楽しみ。

※Fintech≒例えば、ネットバンキングのデータを取り込むことで、そこに記載された摘要から推測される取引を自動的に仕訳する会計ソフトの技術等

2018年02月28日

人脈作りについて

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とても単純化して説明するためには、名刺交換会を例にするのが分かり易いと思う。

 名刺交換会に参加して、初めてお会いする人と名刺を交換しても、ほとんど人脈にはならないとの感想をお持ちではないだろうか。名刺交換会に参加するのなら、運営側で参加しないと人脈に繋がらない。

 運営側は、各種団体の担当者に連絡して、出席名簿の整理をしたり、飲食の準備をしたり、看板の準備をしたり、受付をしたりする。それぞれの団体から数人出して、これらの準備作業を共同で行い、名刺交換会が終わって、運営スタッフでお疲れさん会をする。人脈はこの時にできる。

 運営スタッフのお疲れさん会は大切だ。名刺交換会が終わって、後片付けが済んだからといって、さっさと帰ってしまってはいけない。

 職場関係や、地域社会で何かのイベントをする際に、そのイベントの参加者に不満なく安全に楽しんでもらうことは大切だが、そのイベント自身は「手段」であって、そのイベントを実行し成功させる為に協力するスタッフの結束こそが「目的」という場合も実は沢山ある。

 たとえイベントの成功そのものが「目的」であっても、スタッフとして参加してスタッフ同士の人脈作りに利用しない手は無い。

2018年07月26日

短期前払い費用を活用する場合の注意点

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法人の費用は期間対応が原則だ。3月決算法人の場合、3月に支払った金額のうち、3月分の役務の提供に対応する部分だけが、今期の費用になり、4月以降に対応する部分は来期の費用になる。

 ただし、その支払が継続的かつ同質な役務の提供であれば、将来の1年以内の期間に対応する分も含めて、その全額を今期の費用としても良い場合がある。結局のところ、来期の費用が今期に計上されるだけで、その後は追い送りになるのだから、煩雑な事務処理を緩和する為に、そんなに重要でなければ簡便処理しても良いという取扱いだ。年払いの保険料などを損金処理する場合によく使われる。

 ところで、この取扱いをする場合に注意したい点がある。
①年払い契約であること。月払い契約なのだけど、今期は利益が出ているので、将来の11カ月分も支払期日が来ていないが、決算日前に一括して払っておきますっていう場合には適用が無い。

②継続的にこの取扱いをすること。毎期追い送りになる支出なので、重要性が乏しいから簡便処理が認められている。今年は利益が出ているから1年分の前払費用を経費にするけれど、翌年は利益が出なかったので、期間対応させて1か月分しか経費にしないというような利益調整に利用しないこと。

③決算日以後に支払っている場合には適用が無い。支払っているから前払なのであって、前払費用の未払費用ってあり得ない。

④借入金を預金、有価証券などに特定の目的で運用する場合に、その借入金に係る支払利子のように、特定の収益の計上と対応させる必要があるものには適用が無い。

2018年09月26日

事業承継について

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 本年4月1日より新しい事業承継税制が施行されており、従来の制度より格段に使いやすくなっています。この新しい事業承継税制は平成39年12月31日までの特例です。この制度の適用を受けるためには平成35年3月31日までに認定支援機関の所見の記載のある「特例承継計画」を都道府県に提出して、その認定を受けなければなりません。

 さて、今回はこの事業承継税制のお話ではなく、事業を後継者に引き継ぐ際に、今から準備しなければならない事項について考えてみました。さまざまな準備が必要です。どのように手を付けようかとお悩みの際にはご相談ください。

①誰に引き継ぐのか
 子供に引き継ぐのか従業員に引き継ぐのか等を考えないといけませんが、後継者の経営能力についても考えないといけません。現場に後継者の相談相手になる番頭級の従業員は残しておけるでしょうか。場合によっては集団指導体制や、集団経営体制を考えないといけないかもしれません。

②会社の経営理念
 引き継ぎたい会社の経営理念はなんでしょう。御社の商品は社会にどのように役立ってほしいのか、そのためにはその商品のどんなところにこだわっているのか。ご自身のどんなところに誇りを持っているのか。どのような得意分野を育ててきたのかといったところを明確に意識して、後継者に伝えなければなりません。

③顧客情報の引き継ぎ
 顧客リストだけではなく、顧客の担当者の性格や癖、資金状態、支払状況、顧客が求めているものなどの情報を後継者に引き継がなければなりません。このような情報を持っている御社の営業担当者を残すことができるのであれば、当面は後継者とその営業担当者がセットで行動するといった手法も考えられます。

④従業員の管理
 現経営者についてきた従業員が、すんなり後継者を受け入れてくれるのかといった点も心配です。現経営者が培ってきた人心掌握術や、従業員の潜在的な不満に気付いているところ後継者に引き継いでおくべきです。さらに、福利厚生政策について、今後取り組んでいかないといけない点を検討し、後継者自身が採用するべき将来の従業員についても検討しておきましょう。

⑤資金繰り等
 会社の資金繰りについては、後継者に全て開示してください。営業は任せるけれど、金の管理は当面先代経営者が行うという話も聞きますが、後継者がどの規模で仕入れをすればよいのか、どの程度の金額で人を雇えばよいのか、今後の設備投資をどの規模にすればよいのか判断ができない状況では困ります。借入のタイミング。借入に対する考え方。借入の方法や手続きについても後継者に指導しておく必要があります。

⑥コンプライアンス等の管理
 株主名簿、株主総会の議事録、取締役会の議事録その他会社法関係の書類、就業規則やその他労働法関係の書類の管理、賃貸契約の更新など法令に従った適正な手続きについても今のうちに再確認をしておきましょう。

⑦事務作業の流れについて整理
 会計帳簿の作成、管理、資金の管理、労務管理、在庫管理、備品の管理、スケジュール管理など会社には様々な事務作業があります。後継者にはそのすべての流れが分かるような引き継ぎをしてあげてください。後継者と相談して、今後コンピュータ化合理化のできる部分を検討してみる良い機会かもしれません。

⑧撤退部門
 現経営者が失敗だったと思う部門については、現経営者の責任で撤退にかかる面倒を片付け、綺麗な姿で後継者に引き継ぎたいものです。

2018年11月09日

年間110万円以下で贈与する場合の注意点

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 孫の通帳を作って年間110万円(暦年課税贈与の非課税限度額)以内の資金を動かすという場合を考えてみましょう。

 贈与は契約ですので「あげる」という意思と「もらう」という意思の合致が原則です(民法549条)。例えば子供名義の預金の存在を子供自身が知らず、子供名義の贈与税の申告を親が勝手にして、親がその贈与税を支払っている場合には、その贈与の事実は初めから無いのであって、贈与税の申告が虚偽の申告となるのが原則的な取り扱いと考えられます。

 ただし、その子供が意思能力の無い幼児である場合には、親権者等がその子供の行為を代理することにより、その契約を有効に成立させることが出来ます(民法824条)。さらに、未成年の子供であっても、意思能力が認められる程度に成長した子供の場合には、単に権利を得る法律行為については子供単独でも契約が成立します(民法5条)。

 例えば、祖父母から贈与を受けた現金により作られた預金について、その子供が意思能力の無い幼児であるときには、子供名義の預金の存在を子供自身が知らず、親が子供名義の贈与税の申告を子供に代わってすることがあり得ます。この場合には親権者として子供を代理して法律行為を行ったことを明確にしておくとともに、子供が意思能力の認められる程度に成長した際には、子供の意思で使うことのできる預金があることを知らせてある点についても明確にしておいてください。

 民法550条では「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りではない。」と規定しています。相続税法基本通達ではこの民法の規定をうけ、財産の取得時期を「贈与の場合、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」とする取り扱いを公表しています(相基通1の3・1の4共-8)。 したがって、贈与契約書の無い贈与の場合にはその贈与の履行がいつ行われたのかという判断が重要になります。

 孫自身が支払いの手段として普段使用している普通預金の口座に振り込んだ場合には、その振り込んだ時を贈与の時期とすることに問題はありません。しかし、契約の意味も分からない幼児である孫名義の通帳を祖父が作ってその祖父が預かっているような場合、または契約の意味が分かるほど充分成長しているのだけども、孫がその通帳の存在を知らない場合等については、その贈与は未だ履行されていないものと考えられます。

 このように、未だ贈与が履行されていないと認められる預金については、その預金が実質的に孫の管理下に置かれたタイミングが贈与の履行の時期となりますので、そのまま相続が開始したような場合には全て相続財産になります。

2018年12月15日

重複仕訳の排除

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 フィンテック対応の会計ソフトだと、インターネットバンキングをしている銀行口座のデータを読み込んで自動仕訳してくれる。とっても便利だ。

しかし、ここで気を付けておきたいことがある。重複仕訳の排除だ。簿記の知識がある人は分かると思うのだが、ここで改めて重複仕訳の説明をしておこう。

A銀行からB銀行へ預金を10万円移動させた場合に仕訳を例にとると

(A銀行口座の預金通等からの仕訳)
(借方)B銀行10万円/(貸方)A銀行10万円

一方B銀行の預金通帳からも仕訳すると
(借方)B銀行10万円/(貸方)A銀行10万円

同じ内容の取引が重複して起票されてしまう。

手作業で振替伝票を切っている場合には、この取引は重複するから、一方を起票しないのが簿記のルールだ。

 しかしインターネットバンキングからデータを取り込んで仕訳を自動的にする場合には、今のところこの重複仕訳は自動的には排除されない。

私が使っているMFクラウドの場合、仕訳帳の画面に「重複チェック」というボタンがあり、これをクリックすると同じ日付、同じ金額の重複の可能性がある仕訳が並んで抽出される。

この一覧表の内容を確認して、重複仕訳のいづれか一方の左端にあるチェックボックスにチェックを入れて一括削除する。

 フィンテック対応会計ソフトでも、このような簿記の基礎知識が無いと有効には使えない。いずれこの重複仕訳の削除も自動化されるようになるのだとは思うけど。

2019年01月14日

医療費控除の為の領収書の整理方法

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 毎年、来年からはこのように整理してくださいねって、お願いするのだが、日付順になっていたり、病院ごとになっていたり、領収書の大きさごとになっていたりで、整理するのに大変手間がかかる。ここで手順をもう一度お伝えしておこうと思う。

①申告する年の前年(支払日)の領収証や翌年(支払日)の領収証を除く

 ※治療を受けた日ではない。

②治療を受けた人別に分ける。

③②の後に、病院や薬局ごとに分ける。

④人ごと→病院等ごとに分けたものを集計する。

2019年01月19日

一時に負担の大きい消費税などの国税の計画的な納付(予納制度の活用)

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2019年10月から消費税が10%になる。事業者の消費税の納付は通常大きな金額になるので一時の負担が大変だ。

ちなみに事業者は消費税を消費者に転嫁しているのが建前だが、転嫁した消費税は売上代金とともに回収されているので、回収した消費税分は既に日々の資金繰りにまわされていて、いざ事業者が消費税を納付しようとするときには資金ショートして滞納というケースはあり得る話なのだ。

例えば、消費税の確定申告時期に80万円の消費税を税務署に納めていた事業者は、消費税が10%になると100万円納めないといけないことになる。納税資金の準備の為にコツコツと貯金しておけばいいのだが、経費の支払いに充ててしまっていざ消費税を支払うときには負担になる。

このような場合に活用したいのが、国税の予納制度だ。

2019年1月4日以降はダイレクト納付制度と併用することによって「国税の予納申出書」をいちいち提出することなく、定期的な予納や、収入の発生に合わせて予納することができるので計画的な納税の準備ができる。

(国税庁:ダイレクト納付を利用した予納の開始について)https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/yonoukaishi.htm

2019年01月26日

遊びについて

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飲みに行った先や、買い物をしているときに、どうみても個人的な支出だなと思うのに、 会社名義の領収書をわざわざ書いてもらっている人をみかけたことないだろうか。

お金の管理にルーズな経営者も困る。経費になるものは、明確に区分経理して会社の財布から支出する。 それはもちろんそうあるべきだ。  

私が尊敬する、ある経営者を分析すると
①寛容であること
②正直であること
③礼儀正しくあること
④勤勉であること
⑤節制すること
なのだが、その人を見ていると上手に遊ぶことも大切なのではないかと思う。

いま、白洲正子の「たしなみについて」という本(河出書房新書)を読んでいる。
正子は、ただ勤勉なだけの人は「あまりに早朝から夜遅くまで働く為に、疲れ切って殆ど何も考える事は出来ません。」 「考えないからひまがない。ひまがないから考えない」という。
つまり、勤勉に考えることが重要なのではないか、考える時間の余裕を持つことは私の思う勤勉と矛盾しないのではないかと思うのだ。

また正子は「遊ぶことを知らない人は、遊ぶ時に、醜悪な、往々にして不健康な遊び方をしています」という。
別の場所で、「たとえばある一人の紳士は、これは又反対に一糸乱れぬりゅうとした恰好をしています。ただ、襟元、ネクタイのあたりだけをわざとだらしなくしているのです。いつでも。」 「おしゃれが板についた英国人が、型破りをあえてするのです。何もない所へする不しだらではありません。何かある上に、更に自分のスタイルをつくるのです。」といっている。

 こだわりのある遊び方がおしゃれなのだと思う。自分の金だから、役員報酬を充分にとって大金を遣うのも構わない。会社の経費に付回すのはおしゃれじゃない。犯罪にならず、周囲の人を不快にさせない遊び方がかっこいい。

2019年02月08日

簡便にすることと誤魔化すことは違う

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日本の主要な国税は申告納税制度によっている。

申告納税制度とは納税者が自ら申告を行うことによって税額を確定させる制度だ。

この制度は納税者の良識に支えられている。

(仕事用とプライベートの区分)
ところで、かなり前のことなのだが、個人事業主が使っている携帯電話の利用料を全額経費に入れていても、税務署はそんな細かいことまで見ませんよねって相談されたことがある。

この人の心配事は、携帯電話は仕事でもプライベートでも使っているので、仕事で使う分だけを区分して経費にしないといけないのかという点だ。

所得税法は次のように規定している。

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの

さらに所得税法施行令は以下の通りだ。

第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

つまり、仕事用とプライベートは区分しなければ経費にできない。

(区分する方法)
 スマホの使用料を仕事用とプライベートに区分する方法を考えてみた

 前月分の請求明細を見ると
 ①機種代
 ②基本料金
 ③通話料
 ④データ通信料
 ⑤オプション料金
 ⑥割引
 とある。


(手順1.)請求金額の総額から①の機種代がある場合には、購入代金の分割払いだから、その金額はまず除外する。機種代は別途に計算しないといけないがここでは説明を省略。さらにオプション料金のうち仕事に関係ない機能のオプション代も除く。

(手順2.)③の通話料は、仕事に使ったのか、プライベートに使ったのかを考えてみる。
 私の場合、ほとんど電話の使用料は無いが、電話を使った覚えがあるのは、顧客先へ訪問する際に約束の時間に遅れそうになって連絡した時だけなので、100%経費

(手順3).④データ通信料をどう区分するのかだが、アイフォンの場合スクリーンタイムという機能があって、どのアプリをどれぐらいの時間使っていたかが分かる。これをみると、仕事の連絡や情報検索に利用した時間、音楽をダウンロードしたり、映画やドラマを閲覧した時間が分かる。これを参考にデータ通信料のうち、仕事用とプライベート用を区分する。

(手順4).③の通話料と④のデータ通信料のうち、仕事に使った金額の合計の③と④の総額に占める割合をだす。

(手順5).手順1で計算した金額に手順4の割合を乗じて計算した金額が経費に算入される金額になる。

(さて、ここからが本題)
 毎月、こんな手間をかけないといけないのかという点

どうせ、税務署が見ないのなら、全部を経費にしてもいいじゃないかといえるのか?

税務署は、全ての申告書の細かい部分までチェックはできない。そんな人材も財源もない。しかし抜き打ちで調査の対象になり、その場に臨場した調査官が先ほどの所得税法45条を根拠に経費を否認することはあり得る。

じゃあ、見つかったら損じゃないかという発想は間違いだということを言いたいのだ。

冒頭に書いたが、税金のシステムは人々の良識に支えられている。

見つかったら損じゃないかという発想では成り立たない。


(お月様が見ているよ)
 岐阜県の民話らしいのだが、

  昔、母親を亡くした男の子とその父親が暮らしていました。

  二人で町におつかいに行った帰り、
     夜遅くなってしまったのだが、

  道の脇の畑においしそうなかぼちゃが生っている。

  父親は「誰か見ていたらすぐに知らせろ」と
      男の子に言い残して畑に入ろうとした。

  男の子が言った。
  「お父さん、お月様が見ているよ」

  親子は何も盗まずに家路についた。

この話、私も日本昔話で見たことがあるように思うのだが、なぜ相手が税務署なら、見つかったら損だという発想が生まれるのだろう。

(簡便にすることと、誤魔化すことは違う
先ほどの携帯電話の使用料について、仕事用とプライベートを区分する面倒な方法で毎回区分するのは、その手間と金額の誤差の関係から考えて不合理ではないかということは確かにいえる。

だからといって、税務署が見ていないから全額経費にしていいわけではない。

毎月の支払金額にあまり変動が無く、誤差の範囲が少額であるならば、根拠となるデータを保存したうえで、そのデータに基づく合理的な按分率を算定する算式を適用して毎回の支払金額から経費になる部分を計算するなど、簡便な方法を工夫することも考えないといけない。


2019年03月02日

何を成すか以前にどうあるべきか

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新渡戸稲造の「武士道」が沢山書店に並んでいる時期があった。私もその時期に初めて手に取った。

この記事を読んでくださってる方にはバカにされそうだが、私はその時まで英書の「BUSHIDO」が翻訳だと思っていた。

ふと気がつくと、日本語の「武士道」に奈良本辰也訳とある。
武士道は英書が原書なのだ。

新渡戸はこれでもかというぐらい、西洋思想や西洋文学と武士道の類似点や相違点を並べ立てている。西洋人に日本や東洋の思想が決して西洋思想に劣らない素晴らしいものであることを発信しなければならないという意気込みを感じる。

SNSの発達したいま、一部のインテリだけではなく広く世界の庶民にも、日本や東洋のものの考え方について発信することが大切なのだと思う。

ところで、この「武士道」を読むにあたって、私のお勧めは対訳ニッポン双書のものだ。翻訳が客観的で翻訳者の思いにあまり左右されないし、頁の端に絶妙のタイミングで訳注が入る。

さらに解説書としてお勧めなのは角川oneテーマ21の「高校生が読んでいる『武士道』」だ。

こんなのを高校生が読むのかと感心してしまうが、新渡戸の次のようなエピソードが紹介されている。

一高の校長だった新渡戸が講堂に入ってくるなり「俺の名はNitobe,Not to do,but to be」と黒板に書き、生徒はみな度肝を抜かれたというところ。

これは難しい。

to be,to doが並ぶと、思い浮かぶのは丸山真男の「であることと、すること」なのだけれど、丸山の趣旨はNot to be,but to doだ。

私の場合、丸山真男の「であることと、すること」は高校の国語の教科書で出会ったのだが、初めて法律的なものの考え方との出会いだったと思う。岩波新書の「日本の思想」に収録されている。

新渡戸も「義」と「勇」の関係に関して、正義は行動を伴わないと価値がないと考えているらしいところは丸山と同じだが、勇気は義のために実践されるものでなければ徳としての価値はほとんどないとも言っている。

何を成すかという以前に、どうあるべきかという意味だろうかと想像しているのだが。

2019年03月23日

何を成すか以前にどうあるべきか(つづき)

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先日の文章には、勿論つづきを書かなければならない。

具体的な例をあげるのが分かり易いと思うのだが、この数日思いあぐねていた。

イノベーションを例にしてみる。

生産技術の改革、販売管理技術の合理化、新市場や新製品の開発、組織の合理化など取り組まなければならないと盛んに言われる。

中小企業もこのような改革の努力をせずに、従来の経済構造に胡坐をかいていれば、いずれその土台が無くなるのではないかという漠然とした不安がある。

not to be,but to doだ。

もしその風潮に疑問を感じるのなら、なぜかという点を深く考えてみる。

イノベーションについていけない。
ITがわからない。
世の中の流れが速すぎて、勉強が追い付かない。

このままで生きていけるのなら、いまさら努力などしたくないというようなネガティブな理由にしか行き当たらないのなら、将来の見通しが少し甘いのかもしれない。

一方

ビッグデータとIT技術を活用して売れ筋の商品の上位3種類だけの品ぞろえにすれば、不良な在庫を抱えなくて済むだろうか?

部品の修理や交換にかかるロスを避けるために、平均的な使用時間を分析して、耐久性をぎりぎりまで吟味した使い捨て部品を多用することがユーザーの便益に叶っているだろうか?

というような疑問があるのなら、自分の求めているものが何なのかということをもっと突き詰めてみるのも面白い。

売れ筋上位3種類だけの品ぞろえの店に買い物に行って楽しいだろうか。

無駄な耐久性の質感のある部品がなぜ美しいと感じるのだろうか。

自分が買い物に求めている楽しさや、アイテムに求める美しさに気付くかもしれない。

さらに、それは自己満足にすぎないのかもしれないということも考えないといけない。
明らかに、買い物に楽しさや、アイテムの美しさを求めるべきではない分野もある。

しかし、自己満足ではない生活の楽しさや豊かさを世の中の人々に伝えたいと思えるまで突き詰めたのなら、それがあなたやあなたの会社の存在意義ではないだろうか。

私は、not to do,but to be をいまのところこのようにとらえてる。

つたない説明なので、また書きなおすかもしれない・・・

2019年03月27日

佐伯啓思先生の講演を聞いた

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納税協会の研修会で京大名誉教授の佐伯啓思先生の講演を聞いた。

声のトーン、話のスピード、温厚な語り口や表情が心地よくって聞き入ってしまった。

以下は先生が直接言われた言葉通りではないけど、先生の話を聞いて私が感じたこと。


 ドローンは便利な道具だけど、一家に一台必ず必要なわけではない。

高度成長時代に各家庭にテレビやエアコンが普及した時代とは違う。

爆発的に購買意欲を高めるイノベーションでない限り、小手先のイノベーションがあの時代を再現してくれると思っているのならそれは幻想にすぎない。


 世界は物質的に豊かになる方向へ向かっているわけではない。

世界中の全ての人々がより便利に、より快適にを求めるだけの資源が地球上にはない。

それを目指すべき価値に位置付けると格差が生まれるだけだ。

一つの価値観を世界中に求めるのではなく、人々は足ることを知り、

寛容をもって他者を認め、折り合いを付けながら過ごしていくほかない。


 ウクライナの戦争はいずれ終わるだろう。

コロナ禍 もいずれ収束するだろう。

でもそれ以前の世界に戻るわけではない。

2022年10月03日