節税とは適切な選択をすることだ

節税という言葉が意味するところは多様だ。今年は利益が出たので、良い節税の方法がないかと尋ねられるとどのように答えるべきか困ってしまう。

利益が出たときに節税策として、巷に蔓延している合法的と言われている方法について、僕も合法的だと思ういくつかの方法を紹介することはできる。しかし、それらは目新しいこともないし、その手の本を見れば同じことがあちこちに書いてある。

質問をした経営者は、それ以外の方法は無いかと聞いているのかもしれないが、利益が出ているからといって、その利益を圧縮する魔法は無い。お金の使い方について、より良い選択をすることが節税なのだと僕は思う。だからじっくりと話を聞いてみる。

例えば、新規事業への参入を考えているとか、近くに空き物件が出たので購入したいとか、社用車の買い替え時期が来てるとか、福利厚生を手厚くして良い人材を確保したいとかといった話だ。

このような事情がある場合に、その新規事業や、固定資産の取得をどのような方法でするのか、どのような資産を購入するのか、どんな制度があるのか、どんな特例が使えるのか、毎年の収入と支出はどう変化するのか、適用される税率はどのようになるのか、株価がどのように変化するのかといったことをシミュレーションして、より良い選択をするためのアドバイスができる。

節税のためだけに、通常行わないような特殊な支出をするのは死に金だと思う。生きた金の使い方を考えないといけない。このような訳で、僕は節税という曖昧な言葉が嫌いだ。あえて言うなら「適切な選択」とでもいうべきだろうと思う。

2016年02月07日