短期前払い費用を活用する場合の注意点

法人の費用は期間対応が原則だ。3月決算法人の場合、3月に支払った金額のうち、3月分の役務の提供に対応する部分だけが、今期の費用になり、4月以降に対応する部分は来期の費用になる。

 ただし、その支払が継続的かつ同質な役務の提供であれば、将来の1年以内の期間に対応する分も含めて、その全額を今期の費用としても良い場合がある。結局のところ、来期の費用が今期に計上されるだけで、その後は追い送りになるのだから、煩雑な事務処理を緩和する為に、そんなに重要でなければ簡便処理しても良いという取扱いだ。年払いの保険料などを損金処理する場合によく使われる。

 ところで、この取扱いをする場合に注意したい点がある。
①年払い契約であること。月払い契約なのだけど、今期は利益が出ているので、将来の11カ月分も支払期日が来ていないが、決算日前に一括して払っておきますっていう場合には適用が無い。

②継続的にこの取扱いをすること。毎期追い送りになる支出なので、重要性が乏しいから簡便処理が認められている。今年は利益が出ているから1年分の前払費用を経費にするけれど、翌年は利益が出なかったので、期間対応させて1か月分しか経費にしないというような利益調整に利用しないこと。

③決算日以後に支払っている場合には適用が無い。支払っているから前払なのであって、前払費用の未払費用ってあり得ない。

④借入金を預金、有価証券などに特定の目的で運用する場合に、その借入金に係る支払利子のように、特定の収益の計上と対応させる必要があるものには適用が無い。

2018年09月26日