パソコンに使われてはならない

さっきの昔話は、この記事を書くための伏線だったのだが、さっきも言ったように僕はかなり早い時期からパソコンと付き合ってきた。

そして、仕事でパソコンを使う上で、たくさんの失敗もしてきた。その失敗は要するにパソコンを使うことによって、かえって効率が落ちたというものだ。

手作業だった事務作業の全てをコンピュータ化しようなんて、決して思ってはならない。

僕がコンピュータに出会った頃には、コンピュータでなにができるのかがまだよくわからなかったから、いろんな作業をコンピュータ化しようと試みてみた。

その経験から分かったことは、コンピュータ化に向くことと向かないことがあるということだ。

例えば、会計ソフトは複式簿記を簡単にしてくれた。かつて人的なスキルだった総勘定元帳や試算表の作成が、複式簿記の知識が少なくても簡単にできる。

(ある程度の簿記の知識がないと出来上がったものがデタラメということもあるが)

この会計ソフトの勘定科目には補助科目をつけて、様々な残高管理に利用することができる。これは便利だけど、その利用目的を明確にしておかないといけない。

受取手形勘定に得意先ごとの補助勘定をつけたり、手形期日ごとの補助科目をつけたりする前に、手形帳を作っているなら、二度手間ではないかと考えてみる。

一方で、売掛金勘定に得意先ごとの補助勘定をつけることについては、会計ソフトには現金預金や仕入れ相殺も入力するから、売上帳の回収欄の転記漏れが防げる。これは少し手間がかかるが役に立つという判断ならそれも良い。

やたらに補助勘定が設定されていることがあるけど、何を管理したいのか目的をはっきりさせてから取り組まないといけない。

補助勘定を作ると、各勘定残高以外に補助勘定同士の入れ違いなどで、主勘定の残高はあっているのに補助勘定間の残高管理までしないといけなくなる。無駄な労力だ。

凝ったエクセルの表を作ると人がよくいる。文字や罫線の種類や色、セルの色もカラフルで、かえって見にくい。いろんな率が計算されているけど、何の役に立つのかわからない。住所や名前を入力すると勝手に振仮名が入るって余計なお世話機能の付いた表にお目にかかったこともある。

趣味で凝った表を作るのは勝手だが、仕事の場合には何の目的でその表を作るのか、本当にエクセルで作ることが効率的なのかをしっかり検討しないといけない。

一回きりの表なら、項目欄は、他の資料のプリントを切り抜いて糊で貼り付ける。数字はシャーペンで書き込む。レポートで残したいなら、この切り貼りしてシャーペン書きした物をもう一度コピーする。小計が必要なら、マーカーを引いて集計項目を区分する。

何でもかんでもエクセルで作る前に、手作業とどちらが早いか、エクセルで作れば一回目は時間がかかっても一度作ると二回目からは格段にスピードアップするのか、一旦立ち止まって考えてみよう。

2016年02月22日