事業承継

事業の承継を考える際の選択肢
①事業を子供に引き継ぐ
②事業を従業員に引き継ぐ
③事業を売却する
④事業を廃止する
 ①と②は、後継者指名の問題です。適当な後継者が見つからない場合には、事業の売却も視野に入れなければなりません。そしてどうしても止むを得ない場合には、できるだけ周辺に迷惑を掛けないように計画的に事業を廃止するという選択もあり得ます。

■企業の存続の方法について、考えるべきポイント
①企業側、オーナー側のメリット・デメリット
②お客様に迷惑をかけないか
③取引先、地域社会への影響
④そして企業の存続は従業員の生活がかかっていること

■今すぐに手を付けること
①誰に引き継ぐのか
 子供に引き継ぐのか従業員に引き継ぐのか等を考えないといけませんが、後継者の経営能力についても考えないといけません。現場に後継者の相談相手になる番頭級の従業員は残しておけるでしょうか。場合によっては集団指導体制や、集団経営体制を考えないといけないかもしれません。
②会社の経営理念
 引き継ぎたい会社の経営理念はなんでしょう。御社の商品は社会にどのように役立ってほしいのか、そのためにはその商品のどんなところにこだわっているのか。ご自身のどんなところに誇りを持っているのか。どのような得意分野を育ててきたのかといったところを明確に意識して、後継者に伝えなければなりません。
③顧客情報の引き継ぎ
 顧客リストだけではなく、顧客の担当者の性格や癖、資金状態、支払状況、顧客が求めているものなどの情報を後継者に引き継がなければなりません。このような情報を持っている御社の営業担当者を残すことができるのであれば、当面は後継者とその営業担当者がセットで行動するといった手法も考えられます。
④従業員の管理
 現経営者についてきた従業員が、すんなり後継者を受け入れてくれるのかといった点も心配です。現経営者が培ってきた人心掌握術や、従業員の潜在的な不満に気付いているところ後継者に引き継いでおくべきです。さらに、福利厚生政策について、今後取り組んでいかないといけない点を検討し、後継者自身が採用するべき将来の従業員についても検討しておきましょう。
⑤資金繰り等
 会社の資金繰りについては、後継者に全て開示してください。営業は任せるけれど、金の管理は当面先代経営者が行うという話も聞きますが、後継者がどの規模で仕入れをすればよいのか、どの程度の金額で人を雇えばよいのか、今後の設備投資をどの規模にすればよいのか判断ができない状況では困ります。借入のタイミング。借入に対する考え方。借入の方法や手続きについても後継者に指導しておく必要があります。
⑥コンプライアンス等の管理
 株主名簿、株主総会の議事録、取締役会の議事録その他会社法関係の書類、就業規則やその他労働法関係の書類の管理、賃貸契約の更新など法令に従った適正な手続きについても今のうちに再確認をしておきましょう。
⑦事務作業の流れについて整理
 会計帳簿の作成、管理、資金の管理、労務管理、在庫管理、備品の管理、スケジュール管理など会社には様々な事務作業があります。後継者にはそのすべての流れが分かるような引き継ぎをしてあげてください。後継者と相談して、今後コンピュータ化合理化のできる部分を検討してみる良い機会かもしれません。
⑧撤退部門
 現経営者が失敗だったと思う部門については、現経営者の責任で撤退にかかる面倒を片付け、綺麗な姿で後継者に引き継ぎたいものです。

■事業承継税制
 後継者である相続人等(経営承継相続人等)が、相続等により、非上場会社の株式等を先代継営者である被相続人から取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人等が納付すべき相続税等の納税が一定の要件のもとに猶予される制度があります。

 平成30年4月1日以降は、引き継ぎ株式の全額について納税猶予とする制度が出来ています。この事業承継税制の特例の利用にあたっては、平成35年3月31日までに認定支援機関の所見の記載のある特例承継計画を都道府県に提出して、その確認を受けなければなりません。

■事業承継に関するご相談を受け付けています
 相続税シミュレーションと同様、事業承継に関するご相談も、完全予約制にて受け付けております。お電話にて、面談日時のご予約のうえ事務所までお越しください。

 特例承継計画書の策定と都道府県への提出につきましても、有料にて行っていますので、お問い合わせください。